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ドグラのTRPG日記

TRPGをキッカケにして自分の人生を豊かにしたいと考えています

TRPG参考書籍:感覚表現辞典

 

感覚表現辞典

感覚表現辞典

 

 

はじめに

 TRPGは、自分の感じたイメージを言葉にして、参加者全体の共通認識を作っていくゲームだ。

 それはつまり、周りの景色、人物の特徴といった、我々が五感で得る感動を、分かり安く伝え合うということである。

 お互いのイメージを上手く伝えあえれば、美しい風景や、魅力的な登場人物を、参加者全員で分かちあえる。そして、それらを積み重ねて自分達だけの世界を作っていくことにより、楽しくて深みのあるセッションが生まれるのだ。

 

 では、いったいどのような言葉を使えば、お互いのイメージを正確に共有することができるのか?

 

 ここで紹介したいのは、

 今回取り上げる『感覚表現辞典』

 

 この本は、中村明という国語学者の方が、夏目漱石芥川龍之介宮本輝村上春樹、といった、日本の著名な近代文学から引用した様々な感覚表現を辞書として編纂したものだ。

 採集された用例は、どれも模範的かつ美しいものばかりで、単純にそのまま引用するだけでも、イメージを分かりやすく人に伝えることができる。  

 

『感覚表現辞典』の機能と構成

 『感覚表現辞典』は、大きく分けて、以下の機能で構成されている

 

1.目次

 主に、主文の大分類と、そこから派生する中分類のページ番号が記載されている。中分類にはそれぞれページ数が振り分けられており。表現したい感覚がある程度頭の中でイメージできていれば、簡単に目的のページへたどり着けるようになっている。

 

2.解説

 ・本書を書くに至った経緯

 ・人間の五感の不均一性に始まる「視覚」に関する用例を数多く収録した理由

 ・分類の振り分け事由

 についての解説。

 このあたりは読まなくとも本書を利用することは可能だが、読んでおいた方が本に対する理解が深まるので、余裕があれば押さえておきたい。

 

3.主文

「光影」「色彩」「動き」「状態」

「音声」「音響」

「嗅覚」

「味覚」

「触感」「痛痒」「湿度」「温度」

「感覚的把握」

 の順番で記載。

 主に人間の五感に根付いた内容が大分類としてまとめられている。

 そこから、「色彩」であれば「白」、「黒」、「灰」、「赤」、「桃」…といった、具体的な中分類として派生する。

 

 また、中分類の中にある用例では、

  (中略)照明弾がキラキラ輝きながら…

 のように、用例ごとに振り分けられた番号(この場合は1)に始まって、感覚表現による描写と、それにかかるトピックが、それぞれ下線太字で記載されており、流し読みをしたとしても、適した表現を見つけやすい構成となっている。

 

4.表現索引

 主文に記載された用例の要点を、ページ順ではなく、先ほど少し触れた用例ごとに振り分けられた番号で標示している。

 私が始めて索引を使って用例を調べた際、ページ順と番号を間違えてしまい、まったく検討違いのページを開いてしまった。

 その時は大変な不便さを感じたものだが、使い込んでいくうちに、用例の番号で索引を作る有用性が分かってきた。

 主文では、見開き1ページの中におおよそ15程度の用例が記載されている。

    仮に、索引がページ順で記載されているとなると、少し気になった一つの用例を調べるのに、わざわざページ全体をチェックする必要が生じる。

 この作業は言うまでもなく時間がかかるので、記載のルールさえ分かっていれば一発で該当の用例を調べることのできるこの標示の方が効率的なのだ。

 

実践

 次は本書を使っての実践。

 今回は以下の画像を、『感覚表現辞典』に記載されている用例を参考にしながら、文章で描写を行う。

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 いきなり余談ではあるが、この画像を見てニヤリとした方はぜひ友だちになってほしいです(笑)  

 閑話休題

 まず、この部屋を見て一番最初に気になるのは、部屋に大きく広がる「テーブル」、そしてその上に置かれた「紅茶と洋菓子」だ。

 これらを描写する場合、部屋の入り口からテーブルまでは距離があるので、「触覚」「味覚」は不適当。常時、音を発生させる物体でもないので「聴覚」も適さない。

 よって、「視覚」「嗅覚」で描写するのが妥当だ。

 次に気になるのは、左手を前に突き出している「女性」

 人物の表現であれば、「味覚」以外の全ての感覚で描写が可能だが、今回はあまり面識の無い人物であるということにして、「視覚」「聴覚」で表現する。

 描写する「感覚」について決定したので、早速辞書を引いたところ、「嗅覚」「聴覚」は、記載されている用例がそれほど多くないのも手伝って、容易に適切な用例を見つけることができた。しかし、「視覚」に関しては、人物に対する表現が「動き」「状態」の大分類に分かれて記載されているなど細かく分けられていたため、どちらの分類から引用するのがより適切か、四苦八苦することになった。

 

 そして、色々苦戦しながら作成した成果はこちら

 「提督室」と書かれた部屋のドアを開けると、何とも言えぬおいしい匂いが漂って来た。部屋の中には、白いクロスのかけられた横長のテーブルが居座っており、その上に匂いの主である楕円形の切り口のパンと、鮮やかに光る紅茶が4人分置かれている。

 「Hey!」

 不意に、弾んだが耳に響いた。

 声の方向には、巫女服のような単衣を着た若い女性が長いを波打たせながらこちらを見て微笑んでいる。

   本書に書かれた内容を切り貼りするだけで、このような描写をすることが可能だ。

 このくらい表現できれば、プレイヤーはスムーズに「女性」との会話を始めることができるし、「紅茶と洋菓子」についても興味を持ってもらえるだろう。

 

最後に

  本書は、うまい表現をひねり出したいけど、なかなか適切な言葉が思いつかないという人にはうってつけの内容だ。

 模範的な感覚表現が一通り収められており、状況描写が重要なTRPGのシナリオ作りの大きな助けになってくれる。

 また、本書を活用していれば、自ずと感覚表現を身に付けることができる。

 TRPGは即興で場面を描写しなくてはならないことが多々あるため、表現力の向上はかなり重要な要素である。

 

 そして、本書は、数多くの図書館がその所蔵の中に収めていることも、ここに付け加えておく。

 図書館で閲覧をする分にはお金もかからないし、もし、『感覚表現辞典』のことが気になった方は、一度、家の近くの図書館へ足を向けてみてはいかがだろうか?

 

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