ドグラのTRPG日記

TRPGをキッカケにして自分の人生を豊かにしたいと考えています

ドラゴンズゴールドをモチーフとした深淵のシナリオの作成

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Nagoya EJF Game ドラゴンズ・ゴールド

 

はじめに

 自分がシナリオを書く際は、何かモチーフを定めることが多い。

 最近、深淵のシナリオを書くためにネットで情報収集に勤しんでいたら、ドラゴンズゴールドというボードゲームを見つけた。

 ゲームの内容は、プレイヤーはドラゴン退治のために勇者を派遣し、戦利品を交渉によって分配、最終的に最も財宝を持ったプレイヤーが勝利するというもの。

 龍退治は古今東西のファンタジー作品では一般的なシチュエーションだ。

 しかし、龍退治は剣と魔法の世界の住人であることを鑑みても、恐ろしく危険でリスクのある行為であることは間違いなく、それを承知で参加するような人間は、それ相応の理由を持っているはずである。

 故に、もしも、龍退治という無謀な行為をやり遂げたのに、自分の望む財宝を他の人間に持っていかれてしまうとしたら、それを奪い取ろうとする可能性が充分あるだろうし、しないとしても、正義と望みの狭間で葛藤するのは間違いない。

 以上のような理由で、葛藤や選択がセッションの重要な要素と成る深淵のセッションに、ドラゴンズゴールドのシチュエーションはぴったりだと思ったのだ。

 

シナリオの作成

 気持ちが高まってきたので、早速、ドラゴンズゴールドをモチーフにして、シナリオのプロットを作成。

 

プロット

 王国西部、『龍の淵』と呼ばれる谷の底で、伝説の真紅の魔龍が復活した。
 龍の圧倒的な力の前に人々は為す術も無く蹂躙され、多くの村が焦土と化した。
 現国王は、事態を打開するべく、魔龍討伐の軍勢を整えると共に、先遣隊として5人の勇者(PC3人とNPC2人)を『龍の淵』へ送り込む。

 5人の勇者は、旅路の果てにとうとう『龍の淵』へと辿り着き、死力を振り絞って魔龍を倒すことに成功する。しかし、その後に、巨額の報酬が支払われるのは、龍の首を取った者一人に限ると知ることとなる。

 勇者達には、それぞれ命を賭けてでも叶えたい望みがあり、その成就には巨額の報酬を得る必要がある。

 先ほどまで、喜びと達成感に満ち溢れていた勇者達の間に、だんだんと暗雲が立ち込めて行き…

 

PCの背景情報

 PCが龍に挑む理由を協調するため、それぞれ違ったモチベーションを作成し、個別導入という形で演出を行った。

 詳細は以下。

 

『運命の出会い』

 縁故:ノヘア王女 5

 君とノヘア王女は互いに愛し合っている。

 しかし、これは身分違いの恋。このままでは周囲に認めて貰えるはずも無い。

 君は名を上げて王女と結ばれる為に、この魔龍討伐に志願した。


『安息と不安』

 縁故:デトモルトの仲間 5

 君は部落地区の出身であり、故郷への差別を無くすためにその身を捧げている。

 今回の魔龍討伐でなんとしてでも龍の首を取り、それを手土産に国から差別を取り除かねばならない。


『不義の子』

 縁故:トレルマⅢ世 5

 君は王妃と使用人の間に生まれた不義の子である。

 父であり現国王であるトレルマⅢ世はその事実を知って以来、君の事を疎んじるようになった。

 父の愛を取り戻すため、君はこの魔龍討伐に志願した。

 

 深淵のルールブックに記載されている運命の項を参照にしつつ決定。

 『縁故』とはキャラクターと、縁故先の人物や物品との関係の深さを表しており、通常1-5で表現され、数が多ければ大きいほどその繋がりが強いということになる。

 今回は、龍退治に挑まねばならないほどの強い動機であるため、全員5とした。

 

実際のプレイの流れ

 先日のゴールデンウィーク、身内のプレイヤーとプレイ。

 全員、深淵に慣れているプレイヤーなので、スムーズにシナリオは進行していった。

 

1.国王との謁見

 国王と謁見し、龍の討伐命令を下すことによって、シナリオの目的や雰囲気をプレイヤーに掲示しつつ、二人のNPC

 『落ちぶれたが腕は確かな騎士』、『王宮に仕える魔導師』

 と顔合わせ。

 

2.龍との決戦

 とうとう辿り着いた『龍の淵』で真紅の魔龍との決戦。

 戦闘の結果、『安息と不安』のPCが大きな痛手を負いながらも、龍にとどめを刺した。

 

3.個別導入

 ここで始めてPCごとのオープニングを行った。

 

 『運命の出会い』のPCは、王女との最後の逢瀬を。

 『安息と不安』のPCは、故郷の人々との別れのシーンを。

 『不義の子』のPCは、父である国王に龍討伐への参加を認めて貰うシーンを。

 

 これらの背景情報はプレイヤーが選択するのではなく、サイコロを振ってランダムに決定した。そして、最初は背景情報をクローズにしておいて、このタイミングで全員に開示することとした。

 理由としては、PC各々がなぜ龍退治にに挑むこととなったのか全員に興味を持ってもらいたかったから。

 情報をクローズにしておけば、どこか含みのあるロールプレイや演出ができるため、プレイヤーの注意を引きやすい。(謁見の場面で、何故か国王が『不義の子』のPCにだけそっけないとか)

 プレイヤーは高確率でシナリオの先を読んで来るので、あえてその先を読ませることによって、背景情報へ意識を向けさせるというわけである。

 

4.勝利の後

 魔龍を倒した後のキャンプで、PCは『龍の淵』にもう危険は無いか調査をする必要があることを、魔術師から伝えられる。

 また、その夜、騎士が酒に飲まれてうっかり口を滑らせ、巨額の報酬は龍の首を取った一人に支払われ、その他の人物については、それなりの額しか支払われないことを知る。

 最後に、龍を倒した『安息と不安』のPCの夢歩き(未来の幻視)で『龍の淵』にはまだ潜在的な脅威が眠っていることを示唆した。

 

5.探索

 翌朝より『龍の淵』の探索を行うことになる。

 そこでPC達は、夢歩きを通じた幻視で、最近まで『龍の淵』に真紅の鱗に包まれた『龍人』が住んでいたことを知る。

 そして、『龍人』の遺した日記が見つかり、『龍人』には不治の病に冒された妹がおり、治療の方法を探すため、はるばる『龍の淵』までやって来たということを知る。

 ここで、日が傾いてきたため、不穏な空気を感じながらも、PC達はキャンプへと戻ることとなる。

 

6.その夜

 龍を倒すことのできなかった、『運命の出会い』と『不義の子』のPCは、夢の中で、自身の願いが叶わなかった際の、恐ろしい未来を幻視する。

 そして、二人は、眠っていた筈のキャンプではなく、『龍の淵』にある洞窟の前で目を覚ます。

 間もなくして、姿の見えない二人を探していた『安息と不安』のPCが合流して、現状について話し合うが、突如、目の前の洞窟の中から3人を誘う甘い声が聞こえ、その声に誘われるままに洞窟へと入っていく。

 そこは、『安息と不安』のPCが魔龍を倒した夜、夢で見た光景そのままであり、奥へと歩いていく道中、甘い声はPCを誘惑しようとささやき続ける。

『このままでは、汝らの中で望みを叶えられるのは一人だけだ』

『全員で望みを叶えたくはないか?我の事を受け入れてさえくれれば、それは容易に叶うのだ』 

 

7.決断

 洞窟の最奥。ここでPC達は3つの選択を迫られる。

 

 A.順当に、龍を倒した『安息と不安』のPCの望みを王に叶えてもらい、他のPCは不本意な運命を受け入れる。

 B.己の運命を勝ち取るため、龍を倒した勇者の座を賭けてPC間で戦闘を行う。

 C.この洞窟の奥底に潜んでいる魔族の取引に応じ、新たな魔龍となることを条件に望みを叶える。

 

 今回、プレイヤーが選んだのは『B』。

 『不義の子』のPCが自身の運命を勝ち取るため魔族に魂を売って、真紅の龍人と化し、かつての仲間に襲い掛かる。

 結果、PCの間で戦闘が起こることとなったが、『不義の子』のプレイヤーが、反逆した上で華々しく死にたいとの希望を出したので、このことを前提に戦闘開始。

 最終的に、『不義の子』のPCの境遇を己と重ねて哀れんだ『安息と不安』のPCが、覚悟を決め、二人は刺し違えることとなった。

 

8.エンディング

 ただ一人生き残った『運命の出会い』のPCは、事の顛末を二人のNPCに話す。そして、3人で今後のことを話し合い、死んでしまった二人の運命を『運命の出会い』のPCが引き継ぐ事を条件に、このまま龍退治の英雄となり、王女と結ばれたところで物語を終える。

 

葛藤はできたか

 セッションとしてはおおいに楽しめたし、間違いなく成功であったと言えるだろう。

 ただ、プレイヤーから感想を聞いたところ、葛藤の部分はあまり上手くいっていないようだった。

 理由としては、

 『ヒロインの王女を悲しませたくない』

 『竜殺しの勇者としての権利を取得したので、魔族の側に転ぶ余地があまりない』

 個人的に、ドラゴンズゴールドというシチュエーションは素晴らしいと感じているだけに、シナリオの構成や、個別のモチベーションの部分で目標が果たせなくなったことが残念でならない。

 プレイヤーの思考や、モチベーションのコントロールの部分を研究することが、今後の課題である。

 

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